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特集 糖尿病合併症のこころのケア
Ⅰ
身体疾患患者の心理的ケアの難しさと今後の心理的ケア
Difficulties and future direction in psychological care for patients with severe physical illness
堀川 直史
1
1埼玉医科大学総合医療センターメンタルクリニック
キーワード:
①身体疾患
,
②心理的ケア
,
③臨床心理士
,
④リエゾン精神医学
,
⑤地域医療
Keyword:
①身体疾患
,
②心理的ケア
,
③臨床心理士
,
④リエゾン精神医学
,
⑤地域医療
pp.123-125
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101305
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はじめに
皆藤先生は,臨床心理士あるいはそのほかの医療者が身体疾患患者の心理と行動の問題に関わるときの根本的な理解と姿勢を詳細かつ明確に述べられた.すなわち,筆者なりのまとめになるが,①「この患者は糖尿病であるという科学の知」のみでは不十分であり,「糖尿病を抱えて生きている1人の人間であるという臨床の知」が必要である.②臨床の知における糖尿病は,一般的,普遍的な「糖尿病」ではなく,1人ひとりの患者にとってそれぞれの病であり,個別的なものである.③このような糖尿病を抱えて生きている1人の人間の生涯を理解しようとすること,あるいは患者の人生の一大事,大仕事をともにしようとすることが臨床心理学の仕事である.したがって,④かかわりが一生続く可能性があることを覚悟して患者に出会う,などとなるであろう.
皆藤先生の講演を聞きながら,筆者は臨床心理士の役割を思い,それに関係していろいろなことを考えた.その1つが,身体疾患患者の心理的ケアにおける精神医学の限界と臨床心理士の役割の重要性,「地域として行うリエゾン診療」である.2つ目は,これに関係するが,心理的ケアを行うこととその教育がなぜ難しいのか,その対策をどうすればよいのかなどである.これらの一部は,現在の糖尿病診療と直接の関係は薄いが,身体疾患患者の心理的ケアの今後の方向として,記載しておきたい.
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