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Perspective●展望
臨床医のための実践的食事療法
Practical dietary management for clinicians
大久保 雅通
1
1内科(糖尿病) 久安医院
pp.266
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101064
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糖尿病の治療の三本柱は「食事療法」,「運動療法」,「薬物療法」であるといわれることが多い.本当にそれでよいのだろうか? 2009年12月にDPP4阻害薬が発売され,6種類の経口血糖降下薬が使えることになった.インスリン治療が進歩していることも明らかである.では,十分な食事療法を行うことなく,薬物療法で良好な血糖コントロールを得ることは容易だろうか? 私の答えはいずれも「ノー」である.食事療法は糖尿病の治療法のひとつではなく,治療の基礎となる部分ととらえるべきである.いかに新しい薬物が出現しても,少なくとも現時点において,食事療法を十分に実施しない限りその効果は半減してしまう.
従来食事指導の教材として広く使われてきたのは食品交換表である.食品交換表を十分に活用できたときは,血糖コントロールの改善につながることが期待できる.しかし,近年日本人の生活習慣が急速に変化し,著しい食生活の多様化がみられるようになった.素材を重視した食生活の時代には,食品交換表は強力なツールであったが,現在は糖尿病の専門施設においてさえ交換表を用いた指導が困難なケースが増えている.糖尿病を必ずしも専門としない実地医家にとっては,さらに実践的な食事指導の方法が求められているといえよう.
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