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スタチン治療と糖尿病発症
藤澤 智巳
1
1大阪大学大学院医学系研究科 老年・腎臓内科学
pp.327
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101069
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HMG-CoA還元酵素阻害薬は通常「スタチン」と呼ばれ,そのLDL低下作用と心血管イベントの抑制に関する多くのエビデンスを背景に,広く日常診療に使われている.しかしながら,スタチンの使用が糖尿病の発症リスクと関連するか否かについては議論されてきた.今回,スタチン使用と糖尿病の発症についてのメタ解析が報告されたので紹介する.
1994年から2009年にかけてMedline,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trialを用いて,1,000名以上を対象とし1年以上行われたスタチンを用いた発表あるいは未発表のランダム化研究を抽出.最終的に91,140名を含む13のスタチン研究が抽出された.平均4年におよぶ観察期間中,合計4,278名(スタチン群2,226名とコントロール群2,052名)に糖尿病の発症がみられ,スタチン治療は糖尿病に対して9%のリスク増加を認めた(オッズ比1.09;95%CI 1.02-1.17).メタ回帰によると,スタチンによる糖尿病発症リスクは高齢者で最も高く,投与前の肥満度やLDL低下率ではリスクの残りを説明し得なかった.あるいは脂溶性・水溶性スタチン間で違いを認めなかった.
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