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特集 薬物療法の「常識」はいまも常識?
糖尿病網膜症に対する薬物療法
Pharmacotherapies on diabetic retinopathy
須藤 史子
1,2
1東京女子医科大学眼科
2埼玉県済生会栗橋病院眼科
キーワード:
①糖尿病網膜症
,
②薬物療法
,
③止血剤
,
④血小板凝集抑制剤
,
⑤アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
Keyword:
①糖尿病網膜症
,
②薬物療法
,
③止血剤
,
④血小板凝集抑制剤
,
⑤アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
pp.27-29
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100900
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糖尿病網膜症に対して,アドナ®,トランサミン®,カルナクリン®,ビタミンCを,出血防止,予防のために処方されることが多いかと思いますが,どの程度有効なのでしょうか? そのほか有効な薬物療法はありますか
□糖尿病網膜症に対する薬物療法とは
糖尿病網膜症の病期は,単純網膜症,増殖前網膜症,増殖網膜症の3つに分類される.基本病態としては,単純期は血管透過性亢進,増殖前期は微小血管閉塞,増殖期は血管新生である.したがって,内科的な管理が有効なのは単純期までであり,増殖前や増殖網膜症に対しては,網膜光凝固術や硝子体手術と併用して薬物療法が行われる.全期を通じて血糖コントロールが重要なことは言うまでもないが,糖尿病患者は血液中のコレステロールやトリグリセライドの上昇により血液粘性が増加しているうえに,血液凝固能の亢進,線溶能の低下,血小板機能の亢進から,微小血栓を作りやすい状態にある.さらに血管壁も脆弱になっているため,出血も起こりやすい.
そこで,止血剤や血管拡張剤,血小板凝集抑制剤などが使用されることが多い1).薬剤の薬効は理論的に根拠があり,糖尿病網膜症治療の併用療法として実際の臨床の現場においては汎用されているが,臨床効果については明らかなエビデンスがなく不明と言わざるを得ない.そのため漫然と薬物療法のみを続けていて,網膜光凝固術や硝子体手術の時期を逸してはならない.
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