特集 糖尿病
合併症
16.①糖尿病網膜症—内科領域からの包括的な治療が網膜症治療においても有効
須藤 史子
1
Chikako SUTO
1
1東京女子医科大学東医療センター 眼科
pp.451-456
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900561
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糖尿病網膜症(以下,網膜症)治療は,近年の糖尿病診療と眼科診療の進歩により,失明を免れるための治療から,良好な視力をできるだけ維持するための治療に転換しつつある。視力低下は中等度から高度とさまざまではあるが,生活視力に直結する糖尿病黄斑浮腫に関して,発症予防と治療が注目されている。眼科介入時期によっては取り返しのつかない視力低下もあることから,網膜症を発症・進展させないという内科治療の重要性はますます大きい。
網膜症の病期別で考えると,単純網膜症までは血糖コントロールそのものが網膜症治療となり,網膜症の発症を抑止することがカギとなる。血糖のみならず血圧や脂質異常の管理により網膜症の発症と重症化を予防できることから,内科領域からの包括的な治療が網膜症治療においても有効となる。さらに眼科領域では,白内障手術と硝子体手術の低侵襲化,血管内皮増殖因子(VEGF*1)阻害薬の普及から,糖尿病眼診療は進歩しており,10年前とは大きく様変わりしつつある。しかし,糖尿病患者を中心とした内科-眼科間の双方向からの密な連携は,決して忘れてはならない基本に変わりはない。
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