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特集 糖尿病合併症とその治療に関するエポックメーキングトピックスの展開
糖尿病網膜症の新しい薬物治療が始まって8年:その現状と問題点
Eight years of new era of medical treatment for diabetic retinopathy:State of art and perspectives.
後藤 早紀子
1
,
山下 英俊
1
1山形大学医学部眼科学講座
キーワード:
①糖尿病網膜症
,
②糖尿病黄斑浮腫
,
③ステロイド
,
④抗VEGF薬
Keyword:
①糖尿病網膜症
,
②糖尿病黄斑浮腫
,
③ステロイド
,
④抗VEGF薬
pp.419-422
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101078
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糖尿病網膜症では血管新生による硝子体出血や牽引性網膜剥離が視力低下の原因となる.また,糖尿病黄斑浮腫も視力低下に直結する重要な病態である.これらの病態に関わる重要なサイトカインが血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)である.増殖糖尿病網膜症(proliferative diabetic retinopathy:PDR)や糖尿病黄斑浮腫症例に対してVEGFの中和抗体を硝子体内に注射することで,治療効果が得られることが2006年以降報告されている.
また,糖尿病網膜症の病態解明が進み,炎症性疾患の一面があることが明らかとなった.2002年にステロイド薬の一種であるトリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®)の眼局所投与が糖尿病黄斑浮腫に有効であることが報告され,治療法として薬物治療がstandardのひとつとなった.
本稿ではこの2剤による糖尿病網膜症,糖尿病黄斑浮腫の治療について述べる.
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