Japanese
English
特集 糖尿病診療の将来展望 10 Topics
II.合併症はどこまで克服できるか…
糖尿病網膜症を克服する―現状と将来展望
The present and future of treatment for diabetic retinopathy
今泉 寛子
1
1市立札幌病院眼科
キーワード:
①糖尿病網膜症
,
②血管内皮増殖因子
,
③網膜光凝固
,
④硝子体手術
,
⑤抗VEGF療法
Keyword:
①糖尿病網膜症
,
②血管内皮増殖因子
,
③網膜光凝固
,
④硝子体手術
,
⑤抗VEGF療法
pp.595-599
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101111
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
□はじめに
糖尿病網膜症は本邦の失明原因として緑内障についで2位で,就労年代における中途失明の主要原因であり,社会的にも重要な問題となっている.厳格な血糖管理や高血圧治療などで糖尿病網膜症の進行阻止が報告1)されて久しいが,糖尿病を放置し,視力低下で慌てて眼科を受診する患者もあとを絶たず,治療の進歩にもかかわらず,日本で年間約3,000人が糖尿病網膜症で失明している.
糖尿病網膜症は高血糖に基づく細小血管障害であり,網膜血管閉塞による虚血と網膜血管の透過性亢進により単純網膜症,増殖前網膜症,増殖網膜症と進展する.最近の分子レベルの研究で糖尿病患者では血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF, Tips 1)が眼内で増加しており,網膜病変の発症,進行にVEGFが重要な役割を担っていることが明らかになり2),VEGFを標的とした治療も始まっている.また,炎症の関与も報告されている.本稿では,糖尿病網膜症に対する治療の現状を自験例を含めて述べ,今後の治療の展望について考察する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.