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血管合併症の発症・進展抑制を目的とする血糖コントロールにおいてインスリンあるいは経口糖尿病薬のいずれが有用か
血糖コントロールに際しては,副作用がなく有効な血糖降下が得られるなら,どのような薬剤で血糖をコントロールしても糖尿病性血管合併症の発症・進展を抑制できると考えられる.
2型糖尿病患者を対象としたUnited Kingdom Prospective Diabetes Study(UKPDS)の血糖コントロールに関する研究では,2型糖尿病患者において代謝コントロールが糖尿病合併症に及ぼす影響を明らかにするため,血糖と血圧コントロールの効果がともに検討された.血糖コントロールに関する研究においては,より厳格に血糖コントロールを行うと合併症のリスクが減少するか,血糖をコントロールする際の治療(スルホニル尿素薬,インスリン,メトホルミン)に差があるのか,肥満2型糖尿病に対するメトホルミンは有用かを明らかにすべく,新規に糖尿病と診断された2型糖尿病患者5,102例を対象に,3カ月間の食事指導の後,空腹時血糖値が108~207mg/dLの患者を選択,一部を肥満2型糖尿病に対するメトホルミン研究に組み込み,残り3,867人を従来療法(食事療法)群,またはより良好な血糖コントロールを目指す強化療法群(当初より経口薬,インスリンなどの薬物治療を開始する群)に割り付けた.研究期間中の平均HbA1C値は,強化療法群で7.0%となり,従来療法群の平均HbA1C値7.9%に比し有意な低値となった1).観察期間中の合併症の発症・進展から,強化療法施行群では,従来療法群に比し,白内障手術などのリスクが有意に低下し,心筋梗塞の発症および死亡率も低値となった.細小血管障害の詳細な検討では,網膜症の発症・進展(modified ETDRS 21段階分類の2段階上昇時に悪化と定義)が低下することが示された(Box 1).また,血糖コントロールによる血管合併症のリスク減少は,使用された薬剤(スルホニル尿素薬,インスリン)間に差がなかったこと,メトホルミンによる血管合併症のリスク減少も報告された.
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