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特集 2型糖尿病診療における15のコントロバシー
Ⅲ糖尿病の慢性合併症
網膜症をもつ患者における血糖管理をどのように行うのか―異論/争論,私の意見
Blood glucose control and early worsening of diabetic retinopathy
五十川 陽洋
1
1三井記念病院 糖尿病代謝内科
キーワード:
①糖尿病網膜症
,
②early worsening
,
③DCCT
Keyword:
①糖尿病網膜症
,
②early worsening
,
③DCCT
pp.360-363
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101517
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はじめに
厳格な血糖コントロールにより網膜症を含む細小血管合併症の予防・進展を阻止しうることは,1型糖尿病を対象とした米国のThe Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)1),Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications Research(EDIC)2),2型糖尿病を対象とした英国のUK Prospective Diabetes Study(UKPDS)3, 4),およびわが国のKumamoto Study5)などで示されている.
一方で,急激な血糖コントロールにより網膜症の悪化がみられるという報告は,わが国では1974年にはすでにみられている6).欧米では1981年に,罹病期間7~14年の4人のインスリン依存型糖尿病に厳格な血糖コントロールを行った結果,全例に網膜症の出現を認め,うち3人に重篤な増殖網膜症を認めたとする報告がある7).
中長期的には糖尿病における厳格な血糖コントロールが網膜症の予防および進展阻止に重要であることは間違いないが,治療初期に急激に治療すると網膜症の悪化がみられるため,糖尿病の初期治療における血糖改善速度をどの程度に設定すべきかが,網膜症予防・進展阻止の観点からも議論になるところである.
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