Japanese
English
Perspective●展望
医師の専門性による目標設定の差
Influence of physician specialty on treatment goals for diabetic patients
小泉 順二
1
1金沢大学医学部附属病院 総合診療部・総合診療内科
pp.10
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100453
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
糖尿病対策推進会議が日本医師会,日本糖尿病学会,日本糖尿病協会の共同事業として開始され,各県の医師会を中心に具体的な対応策が考えられている.糖尿病治療に関しては,2004年に「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」が日本糖尿病学会より刊行され,さらに,より実地診療を念頭においた『糖尿病治療ガイド』が出されていることは周知の事実である.しかし,個々の診察場面では必ずしもガイドラインにあった患者ばかりではない.
治療判断は,エビデンスと専門家としての見解,さらに患者の考えが組み合わさって決定される.したがって,糖尿病患者のかかえる健康問題は様々であり個々の患者への対応には医師の様々な背景が影響していると思われる.わが国の糖尿病患者は必ずしも糖尿病専門医のみが診ている訳ではなく,勤務形態,専門性を含めて様々な背景の医師がかかわっている.われわれは医師会員にアンケートを送り,個々に病態が設定された症例で血糖コントロールのための目標値を答えていただいた.長く,多くの糖尿病患者を診ている医師からの回答が多かった.アンケートからは医師の専門性による目標値設定に差があるように思われた.このような差が何に起因するかは不明であるが,推測するにこれまでの糖尿病診療に関する教育と経験が主なものと思われる.できるだけエビデンスに基づくガイドラインに準じた診療が求められている.今回の調査の個々の医師間のバラツキは,エビデンスに基づいて診療しているが,診療の環境や診ている個々の患者が異なることによるものとも考えられる.診療の局面での個々の患者への対応は個々の医師の裁量に任されている.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.