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整形外科領域に求められるエビデンスとは
整形外科領域は,骨折,外傷,脊椎脊髄疾患,関節症,関節リウマチ等の運動器疾患や,それに伴う麻痺や疼痛等を範疇とする,リハにおいて主要な領域である.運動器疾患に対する介入では,現在,運動療法が中心となっている.しかし表に示す通り,ハンドセラピー領域に限っては,長期的な経過を検討した先行研究1〜4)では,対象者も身体機能的には改善がみられているものの,生活上で何らかの困難さを抱えていることは明白であり,これらに対する介入が求められる.実際,Takataら5)のレビューでは,ハンドセラピー領域の191編の介入研究のうち,運動療法(exercise)が138編(72.3%),装具療法(orthotics)が102編(53.4%)だったのに対して,活動を基盤とした介入(activity based)はわずか12編(6.3%)であり,活動を基盤とした介入や,心理社会的への影響に関するエビデンスが求められると指摘している.
大野ら6)の上肢整形外科疾患患者に対するメタアナリシスによれば,作業を基盤とした実践(occupation-based practice:OBP)と,従来型の機能訓練を中心とした対照群と比較した結果,関節可動域や筋力等の機能障害のアウトカムでは両群に有意差が認められなかったが,カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:COPM)やDisabilities of the Arm, Shoulder and Hand(DASH)等の活動や参加を測定するアウトカムではOBP群に有意な改善効果が示されている.以上のことからも,今後整形外科領域において,OBPに関するエビデンスの構築が期待される.
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