Japanese
English
Case Record
抗血小板薬投与中に脳梗塞を発症した2型糖尿病患者の1例―糖尿病と脳梗塞
A case type 2 diabetes with occurrence of cerebral infarction despite preventive anti-platelet therapy
多島 朋子
1
,
岩橋 朝子
1
,
小林 浩子
1
,
佐藤 賢
1
,
中神 朋子
1
,
後藤田 貴也
1
,
岩崎 直子
1
,
内潟 安子
1
,
岩本 安彦
1
1東京女子医科大学糖尿病センター
キーワード:
糖尿病
,
脳梗塞
,
危険因子
,
抗血小板薬
,
動脈硬化
Keyword:
糖尿病
,
脳梗塞
,
危険因子
,
抗血小板薬
,
動脈硬化
pp.333-337
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100397
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Case
脳梗塞を発症した糖尿病
約12年の糖尿病歴をもつ72歳の女性.発見より2~5年までは,経口血糖降下薬(グリベンクラミド・ボグリボース)にて治療を続けるもHbA1Cは10%前後と血糖コントロールは不良であった.その後インスリン療法が開始され,開始時のBMI 22.5 kg/m2と肥満はなく,血糖コントロールも改善したが,食事療法が厳守できずに血糖コントロールは悪化し,徐々に体重も増加した.
その後も,HbA1C 8~9%と血糖コントロールは不良で経過し,BMI 29 kg/m2前後と肥満も増悪した.合併症は,レーザー光凝固を施行後,増殖停止期(福田分類:右眼AⅠp,左眼AⅡp)の網膜症があり,微量アルブミン尿も認めた.
2001年,コントロール不良の糖尿病に加えて,高齢,肥満,高血圧,高脂血症など,脳・心血管疾患の危険因子が重積していることから,バイアスピリン100 mg/日の投与が開始された.
2002年5月29日より歩行障害を自覚し,5月31日には左上下肢の不全麻痺が出現.6月1日に救急車にて来院し,脳梗塞の診断で入院となった.
Caseの教訓:血糖コントロール不良かつ危険因子の重積している糖尿病患者では,抗血小板薬の内服下においても,脳梗塞が起こりうる.
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