Japanese
English
Case Record
著明な閉塞性動脈硬化症を伴い,心筋梗塞にて突然死した2型糖尿病の1例―糖尿病と動脈硬化症
Sudden death due to myocardial infarction in a case of type 2 diabetes with severe arteriosclerosis obliterans
粟澤 元晴
1
,
宇都 祐子
1
,
佐藤 賢
1
,
中神 朋子
1
,
後藤田 貴也
1
,
新城 孝道
1
,
岩本 安彦
1
1東京女子医科大学糖尿病センター
キーワード:
糖尿病
,
糖尿病性壊疽
,
動脈硬化症
,
冠状動脈疾患
,
突然死
Keyword:
糖尿病
,
糖尿病性壊疽
,
動脈硬化症
,
冠状動脈疾患
,
突然死
pp.571-574
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100491
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Case
心筋梗塞にて突然死した2型糖尿病
経過20年と考えられる2型糖尿病の症例で,発症初期からインスリン治療が行われていたが血糖コントロールは不十分であった.糖尿病性腎症に伴う慢性腎不全のため1997年から血液透析を施行,また左眼は硝子体出血後であった.
2002年,両下肢に糖尿病性足壊疽が出現し,保存的加療が行われたが徐々に悪化したため,下肢切断術の目的で当センターに入院した.MRアンギオグラフィー,サーモグラフィーの所見では両下肢の高度の血行障害を認め,両下肢切断術の適応と判断した.
術前の心臓超音波検査で心機能低下が認められ,胸痛などの自覚症状は無いものの全身の動脈硬化が強いことから無症候性心筋虚血の存在が疑われた.負荷心筋タリウムシンチで左前下行枝の灌流域の虚血を確認したため,術前に冠動脈インターベンションを行う方針で待機中に,突然死の転帰をとった.病理解剖所見から,左前下降枝の灌流域に広範囲にわたる急性心筋梗塞が生じたものと考えられた.
Caseの教訓:進行した全身合併症を持つ糖尿病患者では,常に心血管系の動脈硬化症と無症候性心筋虚血の存在を念頭におき,積極的な検査と冠動脈インターベンションを施行することが望まれる.
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