特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第8章:神 経
脳梗塞の一次予防に抗血小板薬は不適切である
上坂 義和
1
1虎の門病院脳神経内科
キーワード:
脳梗塞
,
高血圧
,
抗血小板薬
,
高齢者
Keyword:
脳梗塞
,
高血圧
,
抗血小板薬
,
高齢者
pp.637-639
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_637
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脳梗塞や心筋梗塞などの既往が明らかでないのにaspirinが処方されている中高齢患者に出会うことがいまだにある.まったくの健康人に処方されることはないであろうから,何らかの血管リスクを考慮してのものではあろう.一次予防としてaspirinを投与することで初回心筋梗塞が32%,全心血管イベントを15%減少させる(ただし非致死性脳卒中と血管死には有意な差はない)との報告1)もかつてはあり,非常に多くの症例にaspirinが処方されてきた.しかし,高血圧,脂質異常症などのリスク管理が進歩した結果,aspirinの心血管イベント一次予防における有用性はなくなっている.本稿ではリスクごとに一次予防に対する抗血小板薬(主にaspirin)に関する臨床知見の現状を概括する.
© Nankodo Co., Ltd., 2021