JIM臨床画像コレクション
Portal biliopathy
宗像 博美
1
,
今西 幸市
1
1湘南鎌倉総合病院消化器内科
pp.1050
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903739
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門脈圧亢進症では胆管壁内外に求肝性側副血行路が発生しやすく,肝外門脈閉塞による場合はとくにその変化は著明である.Portal biliopathyという用語は,これらの静脈瘤様に発達した側副血行路が胆管の圧排性変化を引き起こしている場合に使われる.
症例は23歳男性.乳児期臍炎による門脈系の血栓性静脈炎が原因の肝外門脈閉塞症.生後8カ月,4歳,6歳,16歳の時に食道静脈瘤破裂,7歳時に食道離断術,脾臓摘出術を受けている.今回は黄疸,発熱,背部痛出現,腹部超音波検査にて総胆管・胆嚢結石を指摘され,入院となった.左・右上図:腹部CT像.門脈本幹の不明瞭化と,発達した側副血行路による中部総胆管の圧排狭窄(矢印),およびそれより上部の胆管の中等度拡張を認める.左下図:ERCP像.中部総胆管の滑らかな筆状狭窄(矢印)と総胆管内に多数の小結石を認める.右下図:経動脈性門脈造影.門脈左右枝の分岐部でほぼ完全閉塞,cavernous transformation (側副血行路による海綿状血管腫様変化)(矢印)がみられる.以上よりportal biliopathyに合併した総胆管結石・胆管炎と診断した.
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