Update '98
モルヒネで効きにくいがんの痛みへのアプローチ
高宮 有介
1
1昭和大学病院麻酔科緩和ケアチーム
pp.1007
発行日 1998年12月15日
Published Date 1998/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903726
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モルヒネの普及に伴い,多くのがん患者が痛みから解放されてきた.しかし,大量のモルヒネを使用しても軽快しないがんの痛みもある.Neuropathic painとも呼ばれており,10人に1人の割合で存在する.そういった痛みには,鎮痛補助薬が効果を発揮する.以前からトリプタノール®やテグレトール®,ステロイドなどが使用されてきたが,今回は最近注目を集めている抗不整脈薬とケタラール®を紹介する.
抗不整脈薬には,経口薬としてメキシチール®があり,注射薬としてはキシロカイン®がある.抗不整脈薬の長所として,他の鎮痛補助薬に比べて眠気の副作用が少ないことがあげられる.メキシチールは150~300mg/日を使用する.キシロカインは,持続皮下注入法または持続静注法で使用する.最初に50~100mgのワンショットをして効果・副作用を確認して使用している.不整脈に使用するよりも少ない500~1,000mg/日から開始する.血中濃度は1.5~5μg/mlに保つことが安全域とされている.末期患者の採血は最低限にしたいものである.
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