JIM臨床画像コレクション
早期回腸癌(腺腫内癌)の1例
宗像 博美
1
,
今西 幸市
1
1湘南鎌倉総合病院消化器内科
pp.278
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902690
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小腸は消化管全長の75%を占めるにもかかわらず,原発性空回腸癌は,その発生頻度が全消化管癌の0.1~0.35%とまれな疾患である.そのうち,回腸癌は約1/3を占める.
症例は51歳,男性.人間ドックの大腸内視鏡検査で回腸終末部の隆起性病変を指摘される.左図:大腸内視鏡像.回盲弁から約10cmの回腸終末部に,径3cm大の上方が2つに分葉した亜有茎性の腫瘍を認めた.中央図:小腸造影検査では同部に腫瘍による陰影欠損を認めた(矢印)が,口側腸管の拡張はみられず,他には異常はなかった.生検診断は管状腺腫であったので,内視鏡的切除を行った.右図:HE染色像.中~高度異型腺腫と混在して増殖する高分化腺癌を粘膜内に認め,腺腫内癌と診断した.切除断端は癌細胞陰性であった.腹部超音波検査および胸腹部CTスキャンでも明らかな転移性病変は認めなかったが,早期小腸癌の手術適応に関する標準的指針はなく,本人の希望もあり,回腸部分切除術および所属リンパ節郭清術を施行.組織学的検索で内視鏡切除部に癌組織の遺残およびリンパ節転移ともに認めず,治癒切除と判断した.
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