JIM臨床画像コレクション
日常診療に役立つ胸部聴診法
木村 琢磨
1
,
米丸 亮
1
,
白井 哲
1
,
川城 丈夫
1
1国立療養所東埼玉病院内科
pp.274
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903497
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聴診器は最もありふれた診察器具であるが,さまざまな診断法が発達した現代でもその有用性は高く,多くの情報が得られる.
症例は52歳の男性.心不全・肺水腫のため気管内挿管のもと人工呼吸管理を行っていた。経過中,吸気時に低圧アラームが鳴る状態が続き,人工呼吸回路のどこかでエア漏れが生じて,気道内圧が低下していることが疑われた.挿管チューブのカフや回路の接続部に問題はなく,胸部を聴診すると呼吸音は弱い.そこで,聴診器を人工呼吸回路の患者側から人工呼吸器側へ向かって移動させながら聴診すると(表紙写真・上),送気されたエアの漏れを疑わせる連続性音を加湿器の近くで聴取した。注意深く観察すると,回路の加湿器の蓋が外れており,それが気道内圧低下の原因であると判明した.聴診器により人工呼吸回路のトラブルが発見できた症例であった.
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