JIM臨床画像コレクション
大葉性肺炎像を呈した非定型抗酸菌症
木村 琢磨
1
,
米丸 亮
2
,
川城 丈夫
2
1国立病院東京医療センター総合診療科
2国立療養所東埼玉病院内科
pp.690
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903580
- 有料閲覧
- 文献概要
症例は65歳の女性.生来健康であったが,某病院で左肘部皮下腫瘤を摘出後,39℃の発熱と胸部異常陰影が認められた.一般抗菌薬は無効で,気管支鏡検査で診断不明であった.経皮的肺生検が施行され,Mycobacterium avium-intracellulae complex (MAC)の核酸増幅法(PCR)が陽性のため,MAC症が疑われ,当院へ転院した.
入院時,体温38.5℃,脈拍96回/分,呼吸数18回/分,血圧110/70mmHgで,胸部X線写真とCTで,右上葉に著明なエアー・ブロンコグラムを伴う区域性の浸潤影が認められた(表紙写真).血液検査ではWBC 33,980/μl,CRP 26.2mg/dl,ESR 140mm/hrであった.臨床的に重症の大葉性肺炎を疑い,パニペネム・ベタミプロンとミノサイクリンの投与を開始したが無効であった.喀痰塗抹検査では抗酸菌(ガフキー8号)を検出し,PCRではMAC陽性であった.MAC症の診断基準を満たしたため,その治療としてリファンピシン,エタンブトール,クラリスロマイシン,レボフロキサシン,カナマイシンの投与を開始した.一方で,悪性リンパ腫・肺胞上皮癌などの悪性疾患,膠原病性肺病変などの合併が否定できず,胸腔鏡下肺生検を含めた精査が必要と考えられた.某大学病院に転院したが,さらなる検査をすることなく,上記の治療のみで軽快した.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.