JIM臨床画像コレクション
腹部リンパ節結核
木村 琢磨
1
,
米丸 亮
1
,
川城 丈夫
1
1国立療養所東埼玉病院内科
pp.1166
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903426
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近年,結核はHIV感染症の増加や再興感染症として再び注目されており,平成11年の結核緊急事態宣言は記憶に新しい.
症例は52歳の男性.食欲不振を主訴に来院し,胸部X線および喀痰検査で肺結核と診断された.抗結核剤の投与を開始したが,経過中,眼球結膜の黄染と左上腹部圧痛が出現した.生化学検査ではT-Bil 3.21 mg/dl, D-Bil2.54 mg/dlで,腹部造影CTにて肝門部の著明なリンパ節腫脹(表紙写真・上)を認め,その総胆管の圧排による閉塞性黄疸と診断した.リンパ節腫脹の原因として粟粒結核,腸結核・結核性腹膜炎による腸間膜リンパ節腫脹,HIV感染症などの免疫不全状態における全身性リンパ節腫脹,転移性を含む腹腔内悪性腫瘍,悪性リンパ腫などと鑑別を要したが,HIV抗体は陰性で,全身検索で上記の病態はいずれも否定的であった.腹部リンパ節結核として抗結核剤の投与を継続し,6カ月後,肝門部リンパ節は縮小(表紙写真・下)し,黄疸も軽快した.
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