JIM臨床画像コレクション
巨赤芽球性貧血における過分葉好中球
木村 琢磨
1
,
青木 誠
2
,
米丸 亮
1
,
川城 丈夫
1
1国立療養所東埼玉病院内科
2国立病院東京医療センター総合診療科
pp.972
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903376
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症例は全身倦怠を主訴に来院した65歳の男性.来院時,体温37.6℃,脈拍92回/分,呼吸数20回/分.血圧144/72mmHg.眼瞼結膜に著明な貧血,眼瞼と下肢に浮腫が認められた.数カ月前より四肢のしびれも自覚しているという.末梢血ではWBC2.550/μl, RBC 91×104/μl,Hb 3.3g/dl.MCV 115.4fl, MCH 36.3 pg, Plt 3.9×104/μl, Ret 31.0%。で,白血球分画の異常は報告されず,生化学検査ではT-bil 1.21 mg/dl, LDH1659U/l, Fe221μg/dlであった.胃切除の既往はなかったが,臨床的に巨赤芽球性貧血を強く疑い,末梢血標本を直接検鏡したところ多数の過分葉好中球(表紙写真)が認められた.そこで.診断的治療としてビタミンB12)の筋注を開始した.
数日後に判明した検査結果では,血清ビタミンB12値は79 pg/mlと低値で,葉酸値は正常であった.胃内視鏡,骨髄検査で悪性所見は認められず,抗胃壁細胞抗体が陽性であり,悪性貧血と診断した.患者の汎血球減少症はビタミンB12投与のみで軽快した.
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