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輸血後の反応と混入白血球およびサイトカインとの関係
Passenger leukocytes, cytokines, and transfusion reactions
溝渕 和久
1
1今西医院
pp.1107
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901373
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輸血療法が開始されて以来,非溶血性の発熱は臨床的に問題となってきた.1960年代には抗白血球抗体が原因として同定され,HLA抗原の発見につながった.しかし輸血後の発熱はすべて抗白血球抗体が原因というわけではない.したがって白血球を除去した輸血を行っても2,3の反応が出現する.発熱反応が望ましくないと考えている医師は,患者にあらかじめ抗アレルギー薬や解熱薬を投与している.
今週号でHeddleらは解熱薬や抗ヒスタミン薬を投与しておいたにもかかわらず,血小板輸血を施行した12名中10名に輸血後反応が高率に発生したことを報告している.これらの反応の原因を調べるためHeddleらは貯蔵後,血小板と血漿を分離して輸血した.血漿輸血で反応が発生した頻度は31%,血小板輸血では9%,両方とも反応が発生した頻度は12%であった.血漿成分での反応はインターロイキン1βとインターロイキン6の2つのサイトカイン濃度と相関していた.血小板製剤に混入している白血球がこれらの発熱物質を放出し,貯蔵期間中に血漿内に蓄積する.したがって輸血後の反応は血小板の貯蔵期間が長いほど増加する傾向にある.血小板が20℃で3日間以上貯蔵されるとtumor necrosis factorαやインターロイキン1β,インターロイキン6などの発熱物質が高濃度で存在するようになる.これによりサイトカインは白血球からリークしたものではなく,合成されたものであることが示唆される.
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