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サイトカイン
徳永 徹
1
1国立予防衛生研究所細胞免疫部
pp.232
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921935
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サイトカイン(cytokines)という言葉が最近しばしば用いられるが,特殊な関連用語も多く専門外の人には分かりにくい言葉と思われる.サイトカインとは,本来の語義からすれば細胞が産生する高分子の生理活性物質の総称であるが,通常は,主として免疫担当細胞(リンパ球とマクロファージ)が産生し,免疫系の調節や生体防御,あるいは生体の恒常性維持にはたらく因子の総称と考えてよいだろう.
歴史的には,1966年にDavidとBloomがそれぞれ別個に,感作リンパ球を抗原で刺激するとマクロファージの遊走を阻止する因子(MIF)が産生されることを見出したのが最初である.その後この培養上清中,あるいはリンパ球をPHAやCon Aなどのマイトジェンで刺激した培養上清中には,多様な活性をもつ種々の因子が微量含まれていることが知られ,それらをリンフォカイン(Iymphokines)と総称するようになった.その後マクロファージも,その分化段階や活性化の程度に応じて極めて多様な活性物質を産生し,免疫系を調節していることが知られ,それらを総称してモノカイン(monokines)と呼ぶようになった.
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