最新基礎科学/知っておきたい
サイトカイン
吉川 秀樹
1
1大阪大学医学部整形外科
pp.799
発行日 1999年6月25日
Published Date 1999/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902741
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骨形成や骨吸収を制御する物質としては,ホルモンやビタミンなどの全身的調節因子と,増殖因子やサイトカインなどの局所因子(local fator)が挙げられる.サイトカインは,免疫担当細胞や血液系細胞が自律的に産生,あるいは何らかの刺激により産生される生理活性物質として定義される.これらの細胞は,骨の微少環境(骨髄や毛細血管)に豊富に存在することから,サイトカインは局所での骨代謝制御に重要な役割を果たしていると考えられている.骨のリモデリングや骨折治癒過程において,これらのサイトカインが複雑なネットワークを形成し,骨代謝を制御していることが推測されている.サイトカインの中で,特に骨代謝調節因子として重要なものとして,インターロイキン1(IL-1),IL-4,IL-6,IL-17,IL-18,腫瘍壊死因子(TNF-α),マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF),インターフェロン-γ(IFN-γ)などが挙げられる.
IL-1は,in vivoおよびin vitroで強い骨吸収作用を有し,破骨細胞刺激因子(OAF)の本体であることが示された.IL-1のレセプターは骨芽細胞に存在し,IL-1による骨吸収作用は,骨芽細胞からの何らかのmediatorを介した作用と考えられる.一方,IL-4はPTH,ビタミンD3,IL-1,プロスタグランディンE2等による破骨細胞形成を抑制し,骨吸収を抑制する.
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