Japanese
English
特集 自殺の現状と予防対策—COVID-19の影響も含めて
医師による自殺幇助—現状と課題
Physician-assisted Suicide:Current status and issues
会田 薫子
1
Kaoruko Aita
1
1東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座
1Uehiro Division, Center for Death & Life Studies and Practical Ethics, Graduate School of Humamities and Sociology, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
医師による自殺幇助
,
physician-assisted suicide
,
PAS
,
安楽死
,
euthanasia
,
自律
,
autonomy
,
倫理
,
ethics
,
精神疾患
,
mental illness
Keyword:
医師による自殺幇助
,
physician-assisted suicide
,
PAS
,
安楽死
,
euthanasia
,
自律
,
autonomy
,
倫理
,
ethics
,
精神疾患
,
mental illness
pp.1099-1108
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206408
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抄録 医師による自殺幇助(physician-assisted suicide:PAS)は,意思決定能力を有する患者の自己決定に基づいて,医師が致死薬を処方し,患者が自ら選択したタイミングで服薬したり点滴のストッパーを開けたりして最期を迎える方法である。「自律尊重原則」を重視し,医師が患者を支援して実現する自死の選択であり,世界のごく一部で行われている。PASは安楽死と類縁関係にあるが,この2者では実施のあり方と医師の関与の程度に違いがあり,医師が致死薬を注射して最期を迎えさせる安楽死のほうが,医師の心理的な負担ははるかに大きいといえる。精神疾患患者をPASと安楽死の対象とすべきか否かはいっそう複雑かつ深刻な問題である。オランダとベルギーのようにそれを許容している国もあるが,精神疾患の特徴を踏まえれば,容認されるべきではないという議論もあり,論争が継続している。これは医学的な課題としてよりも人権問題として捉えられるべきであり,精神疾患患者を差別すべきではないという見解もある。
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