特集 内科的治療か外科的治療か
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胆石症の治療方針―内科の立場から/「胆石」―外科の立場から
大菅 俊明
1
1筑波大学臨床医学系内科
pp.232-233
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900772
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日本人の胆石保有率は今日大まかに言って約10%であり,加齢とともに増加する.したがって保有者数からみても,高齢化社会に向かいつつある現状からみても,胆石症は成人病としての意義や医療経済上の重要性が増している.最近の約20年間に胆石の成因論と平行して,その非観血的治療法の開発が著しく進歩した.その結果,ヒトの胆汁はコレステロール過飽和であるために,非観血的な治療法は本質的には根治療法ではなく,常に再発という現象がつきまとうことがわかった,しかし,臨床的にはあまり再発は気にしなくてよい非観血的治療法も開発されてきている.
約100年前に始まった胆嚢摘出術は遺残胆石や胆適症候群などの後遣症の問題を残していたが,最近では術中検査法や麻酔などの全身管理がほぼ完成し,現在では年齢不問,安全性の高い唯一の胆石症に対する根治療法であった.そしてこのことは現在でも変わらない.しかし約4年前に開発された腹腔鏡的胆嚢摘出術は手術侵襲が少なく,美容的にも手術創が小さく,入院日数も少なくて済むことから今や爆発的に症例数が増えている.恐らく技術に習熟した施設,医師が増加することにより,本法が胆石治療法の主流になるのではないかと思われる.
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