特集 高齢者「主治医」事典
【高齢者の生活と診療】
口腔衛生―高齢者において歯科コンサルタントが必要な症例をピックアップする
山口 朱見
1
,
川越 正平
1
1医療法人財団千葉健愛会あおぞら診療所
キーワード:
セルフケア困難
,
終末期
,
認知症
,
誤嚥性肺炎
,
口腔ケア
Keyword:
セルフケア困難
,
終末期
,
認知症
,
誤嚥性肺炎
,
口腔ケア
pp.839-841
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102991
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Case
継続した口腔ケアにより全身状態の改善が見られた認知症患者の1例
患者:76歳,女性.
疾患名:アルツハイマー型認知症.
経過:誤嚥性肺炎による発熱を繰り返し,食物および唾液によるむせの増加,食事量の減少,栄養状態の悪化(2011年6月アルブミン値3.4g/dl)がみられた.体幹は左傾斜し,頸部の前屈が認められた.口腔内は清掃不良により多量のプラーク(J1)付着,歯肉の炎症,う蝕歯も存在し,強い口臭が認められた.強い口腔周囲の筋緊張がみられ,介護者による口腔ケアは困難であった.発声は可能であるが,意味不明で意思疎通は不可能であった.2011年7月から歯科介入によりう蝕歯の治療を行い,口腔ケアを継続したところ,歯科介入以後の発熱は消失し,むせはほとんどなくなった.食事量が増加し,それに伴い栄養状態が改善(2012年10月アルブミン値3.8g/dl)した.体幹の左傾斜と頸部の前屈はほぼ消失した.介護者による口腔ケアが可能となったことで,口腔清掃状態は良好となり,歯肉状態の改善,口臭は消失した.ときに単語での返答が可能であり,笑顔も多く見られるようになった.
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