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教育講座
摂食嚥下リハビリテーションにおける医科と歯科の融和—急性期から維持期(生活期)にかけて病態の変遷に伴う口腔ケア
The Reconciliation of Medicine:Dental Medicine in Dysphagia Rehabilitation : —The Oral Health Care from Acute stage to Maintenance stage—
植田 耕一郎
1
Koichiro Ueda
1
1日本大学歯学部摂食機能療法学講座
キーワード:
摂食嚥下障害
,
摂食機能療法
,
誤嚥性肺炎
,
口腔ケア
,
食事の楽しみ
Keyword:
摂食嚥下障害
,
摂食機能療法
,
誤嚥性肺炎
,
口腔ケア
,
食事の楽しみ
pp.372-376
発行日 2017年5月18日
Published Date 2017/5/18
- 販売していません
- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
1990年,都内に初の都市型リハビリテーション(以下,リハ)専門病院が開院しました.当時は,リハ専門病院の存在が稀有なうえに,歯科の設置はほとんど前例がなく,歯科に訪れる患者の口腔内は,それまでまったく目にしたことのないものでした.対象患者の7割が脳卒中で,食物が原型のまま歯の表面に付着していたり(図1),残存している20以上の歯がすべて歯根だけを残したむし歯(齲蝕(うしょく))になっていたり,半年以上も口腔外に出したことのない義歯が歯石に埋もれていたりです.口腔は,本人も含めて誰にも管理されない人体の空間でした.さらに,口腔内の環境を整え,齲蝕,歯周病,義歯などの歯科疾患処置を終えたとしても,噛めない,飲み込めない,すなわち摂食嚥下障害が依然として残っていました.
同じ疾患でも,急性期から回復期,維持期(生活期),そして終末期に至る変遷で,口腔内環境も特異的に変化すること,また口腔内の状態によって全身疾患の予後予測が立つことに気づかされます.
そこで今回は,リハ対象患者の口腔機能の実態を紹介し,摂食機能障害に対する歯科の役割について検討します.
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