風邪の総合診療
[9]発熱+消化器症状型
岸田 直樹
1,2
1手稲渓仁会病院総合内科
2手稲渓仁会病院感染症科
pp.68-73
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102401
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はじめに
前回は「発熱・頭痛型」として,発熱以外に頭痛の訴えが強いカテゴリーに関して話をしました.その多くは風邪(ウイルス性上気道感染)による発熱に伴う頭痛ですが,見逃してはいけないものとして「髄膜炎」があること,その身体所見の理想と現実,そして唯一の診断の検査である「腰椎穿刺」をするかどうかの理想と現実について確認しました.このほかにも感染症では副鼻腔炎や帯状疱疹,非感染症ではリウマチ性多発筋痛症/側頭動脈炎などにも注意が必要です.
さて,今回は「発熱+消化器症状型」について考えてみたいと思います.発熱に加え,嘔気・嘔吐・腹痛・下痢などといった消化器症状を伴うカテゴリーがこれにあたります.ノロウイルス(生カキといえばこれ)などのウイルスが原因として多いでしょう.家族内流行性が強くあり,通常は病歴により診断できます.細菌性腸炎との鑑別が問題となりますが,下痢での便培養陽性率は1.5~5.6%とされ1),多くはウイルス性のいわゆる「おなかの風邪(腸感冒)」です.しかし,このカテゴリーには重篤な疾患が紛れ込みうることがあり,かなり注意を要するものと心得ることが重要です.では,どうしたらよいでしょうか?
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