風邪の総合診療【最終回】
発熱+頸部痛型
岸田 直樹
1
1手稲渓仁会病院総合内科・感染症科
pp.316-324
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102478
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はじめに
前回は「発熱+皮疹型」として,急性の経過で発熱以外に「皮膚症状」を強く訴えるカテゴリーに関して話をしました.総合内科外来で最も多いのはself-limittedなsome viral infectionか薬疹の疑い…とはなってしまいます.しかし,epidemiology(地域だけでなく,とくに流行)を意識した診療が重要で,微妙な皮疹や病初期の場合にはその情報が診断の背中を強く押してくれることが多々あることを確認しました.また,見た目で明確に診断できる多形滲出性紅斑と結節性紅斑をきたす疾患の鑑別,そして,見ただけで泣きたくなる重篤な感染症の皮疹についても確認しました.皮膚所見は一見難しいですが,前回のように分類していれば,簡単にわかるものと結局はどんなにがんばってもわからないものとの区別が明確になり,あとはepidemiology次第となるはずです.
さて,今回は急性の経過で受診する「発熱+頸部痛型」について考えてみたいと思います.発熱に加え,頸部痛を訴える場合にこのカテゴリーとなります.咳・鼻汁・咽頭痛(嚥下時痛)といった多領域にまたがる気道症状があれば,風邪(ウイルス性上気道感染)に伴う頸部リンパ節腫脹でよいでしょう.このように頸部痛が嚥下時痛かどうかは重要で,嚥下時痛であれば基本的には咽喉頭の病変を考えればよく,本カテゴリーに入れるのではなく,喉症状メイン型(連載第3回)としてアプローチしてください.今回はそのような気道症状を基本的には伴わなくてもよい,急性の経過で来院しうる,発熱を伴う頸部痛をきたす疾患について考えてみたいと思います.
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