風邪の総合診療
[10]発熱+関節痛型
岸田 直樹
1
1手稲渓仁会病院総合内科・感染症科
pp.154-159
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102427
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
前回は「発熱・消化器症状型」として,発熱以外に嘔気・嘔吐・腹痛・下痢などといった消化器症状を伴うカテゴリーに関して話をしました.その多くはお腹の風邪(ウイルス性胃腸炎)ではありますが,選択的に抗菌薬を使用することが大切な細菌性胃腸炎との鑑別の「理想と現実」や,胃腸炎という診断の際に紛れ込む重篤な疾患を見抜くコツについて確認しました.
さて,今回は「発熱+関節痛型」について考えてみたいと思います.発熱に加え,関節症状が強い場合にこのカテゴリーとなります.最も多いのは典型的風邪型に伴うもので,その多くは「熱に伴う関節痛(節々の痛み)」となります.よって,明確な3領域の気道症状に加え,熱に伴う関節痛の病歴がとることができれば,このカテゴリーに入れる必要はありません.最も重要な見極めは,関節痛だけではなく,「関節炎」まできたしているかどうかであり,その際には見逃してはいけない重篤な疾患群もあるため,注意が必要です.今回は,風邪に紛れるものとの鑑別ですので,変形性関節症などといった慢性疾患ではなく,急性の経過で現れる関節痛について考えてみたいと思います.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.