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はじめに
前回は「発熱+関節痛型」として,急性の経過で,発熱以外に「関節痛」を強く訴えるカテゴリーに関して話をしました.熱発時のみの関節痛で,さらに咳・鼻汁・咽頭痛といった多領域の気道症状があれば,その多くはウイルス性上気道感染に伴うものと考えて問題ありません.とくにインフルエンザウイルスは,かなり強い関節痛(+筋肉痛)をきたしますが,関節炎(疼痛だけでなく腫脹,発赤,可動域制限)まできたすことはまれであり,関節炎まできたしている場合に考えるウイルスは決まっていることを確認しました.
また,最も見逃してはいけない疾患である化膿性関節炎の診断の理想と現実や,高齢者で多い多関節炎を主訴として来院するatypical gout/pseudogoutとその判断のコツについても確認しました.
さて,今回は,急性の経過で来院する「発熱+皮疹型」について考えてみたいと思います.発熱に加え,皮疹を伴う場合にこのカテゴリーとなります.正直,ただ鑑別をあげてしまうだけだと,感染症・非感染性疾患ともに多岐にわたり収拾がつかなくなります.しかし実際の総合内科外来では,局所性で最も多いのは蜂窩織炎で,全身性では最終的には診断がつけられない何らかのウイルス感染症に伴うもの(中毒疹?),もしくは薬疹の疑いとなってしまうものが多いでしょう.本シリーズは風邪に紛れる疾患との鑑別がテーマですので,今回は膠原病など慢性の経過でくるものではなく,急性の経過で出現する成人の疾患について考えてみたいと思います.なお,海外旅行帰りの患者さんや,海外の成書にいつも上位に書いてあるロッキー山紅斑熱などについて熱く語る,などという非実用的な記述は避けたいと思います.
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