シネマ解題 映画は楽しい考える糧[55]
「ダークナイト」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.67
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102400
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倫理的ジレンマに苦しめられるヒーロー
「バットマン・ビギンズ」(2005年)の続編.仇役ジョーカーを演じたヒース・レジャーの名演で話題になり歴史的大ヒットになった作品です.大富豪ブルース・ウェインがバットマンとなり,ゴッサム・シティーの犯罪者に立ち向かうというお話ですが,本作では強敵ジョーカーが登場し,人間性無視,ルール無用の悪行でバットマンを肉体的にも社会的にも倫理的にも苦しめます.
実によくできたアクション大作で,2時間半があっと言う間に過ぎてゆきました.ベテラン名優らの助演陣も実に素晴らしい.しかし正義の味方のバットマンがあまりにも追い詰められるので,ちょっとかわいそうになってしまいました.バットマンの状況に,サム・ライミ監督の「スパイダーマン」シリーズの主人公の窮地を重ね合わせたのは私だけでしょうか.みんなのために私生活を犠牲にしてがんばっているのに,なぜこんな目に会わなくてはならないのかと感じてしまいます.
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