風邪の総合診療
[8]発熱+頭痛型
岸田 直樹
1,2
1手稲渓仁会病院総合内科
2手稲渓仁会病院感染症科
pp.1026-1032
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102374
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はじめに
前回は「微熱・倦怠感型」として,発熱以外に倦怠感の訴えが強いカテゴリーで,やや急性の経過で受診しうるものに関して話をしました.そして倦怠感という一見とらえどころがない訴えでも,実際に見逃してはいけないものとして,急性肝炎と急性心筋炎をみつけるコツについて確認しました.このほかにも感染症では連鎖球菌による心内膜炎や結核などにも注意が必要です.また,非感染性疾患では亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎,産後甲状腺炎などの,一過性の甲状腺機能異常によるものも診断されにくいcommon diseaseと考えます.
さて,今回は「発熱+頭痛型」について考えてみたいと思います.気道症状がはっきりとあれば,多くは発熱に伴ってのみ出現する(もしくは増強する)頭痛で,このカテゴリーには入れる必要はありません.しかし,見逃してはいけないcommon diseaseとして「髄膜炎」があります.外来で歩いて受診しうるものの大半は無菌性髄膜炎で,ほとんどがエンテロウイルス属のウイルス性ですが,髄液で無菌性髄膜炎が強く疑われる場合でも,そこには意外と奥が深いものが潜んでいる可能性があると心得ることが重要です.
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