特集 BPSDを診ていく
【地域でよくみられるBPSDにまつわる事項】
妄想・異常行動
木之下 徹
1
1医療法人社団こだま会こだまクリニック
キーワード:
BPSD
,
医原性
,
心理社会的アプローチ
,
薬物療法
Keyword:
BPSD
,
医原性
,
心理社会的アプローチ
,
薬物療法
pp.800-804
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101794
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case 1
BPSD(J1)に伏在するせん妄(J2)
患者:70歳代,男性.
脳血管障害+アルツハイマー型認知症.認知機能障害は重篤であり簡単な応答のみ可能であった.家政婦との二人暮らし.数年前より易怒性を認め非定型抗精神病薬A薬を少量服用していた.ある日に起きあがれなく大声を発するとのことでA薬が1カ月間に9倍量処方された.しかし改善することなく,精神科に転科となり別の非定型抗精神病薬B薬が多量に追加処方された.介護者が不安になりさらに転科となり,元のA薬少量に減じられ,そのことでADLが改善し,大声を発することもなくなった.
このケースではBPSDに伏在するせん妄を,それとは気づかず抗精神病薬によって抑え込もうとしたことが,かえってADLを損ない精神症状を悪化させてしまう原因となった.われわれはこのような薬剤によるBPSDの増悪について留意しなければならない(J3).
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.