Japanese
English
症例報告
点滴漏れによる皮膚損傷の小児例
An infant case of skin injury due to extravasation of infusion fluid
平川 彩子
1
,
二木 賢
1
,
上出 良一
1
,
勝沼 俊雄
2
,
二ノ宮 邦稔
3
,
庄田 裕紀子
4
Ayako HIRAKAWA
1
,
Ken FUTAKI
1
,
Ryoichi KAMIDE
1
,
Toshio KATSUNUMA
2
,
Kunitoshi NINOMIYA
3
,
Yukiko SHOUDA
4
1東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科
2東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科
3東京慈恵会医科大学附属第三病院形成外科
4住友病院皮膚科
1Department of Dermatology, Daisan Hospital, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Department of Pediatrics, Daisan Hospital, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
3Department of Plastic Surgeon, Daisan Hospital, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
4Department of Dermatology, Sumitomo Hospital, Osaka, Japan
キーワード:
小児
,
点滴漏れ
,
潰瘍
,
医原性
Keyword:
小児
,
点滴漏れ
,
潰瘍
,
医原性
pp.151-154
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103540
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要約 生後8か月,女児.ウイルス性腸炎にて当院小児科に入院し,輸液ポンプで右前腕から生理食塩水の点滴を受けていた.点滴刺入部からの大量血管外漏出が発生し,右手,前腕の著明な浮腫,水疱,右手指の運動障害を生じた.創は湿潤環境で治療し,壊死組織をデブリードマンし,生じた潰瘍に対して植皮も検討したが,湿潤環境で保存的に治療を継続した.2か月で創は瘢痕治癒し,1年後には肥厚,拘縮のない,わずかの色素沈着を伴う線状の成熟瘢痕にまで改善した.神経障害も残らなかった.大量の生理的食塩水漏出による皮膚障害の発生機序,対処法,皮膚科医としての心構えを述べた.皮膚科医は患者家族,特に母親の自責の念を受けとめつつ真摯に対応し,創の専門医として見通しをもった治療を行うことが大切である.
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