今日からできる思春期外来7
摂食障害予備軍の1例を通して思春期外来を考える―慢性便秘の治療中に短期間の体重減少と痩せ願望を認めた例
井上 哲志
1
Tetsushi Inoue
1
1いのうえ小児科
pp.612-614
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100987
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
小学校入学前後から当院をかかりつけ医とするようになった中学3年の女児.低学年の頃から便通に関連した腹痛の訴えが多く,登校を渋ることが多かった.小学校4年の時に過敏性腸症候群を疑うも,6年になって便秘や頭痛,全身倦怠感などの相談が増えた(この頃から月経の記録がある).平日のすべてに塾か家庭教師の予定を入れ,私立の女子中学校に入学を果たした後は表情も明るくなったが,2年になって,起立性低血圧のため登校時にバスの中で倒れたり,母親からは下痢が訴えられたりするようになった.体重が50kgから45kgに減り(身長約160cm),外見上も痩せて見えるので本人に尋ねると,輸入品の食物繊維を購入して使用しており42kgが目標だという.そこで,神経性食思不振症の説明を母子別々に行った.母親からは少しばかり不快感が伝わってきたが,本人は素直に聞いてくれた.その後,同性の友人関係で悩みソラナックス(R)を内服した時期もあるが,体重は46kg程度で安定している.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.