特集 若者の精神保健①
痩せ願望と摂食障害
切池 信夫
1
1浪速生野病院心身医療科
pp.385-389
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102735
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
神経性食思不振症(anorexia nervosa, AN)や神経性過食症(bulimia nervosa, BN)などの摂食障害は,思春期や青年期の女性に好発するが,最近では前思春期の児童から働く女性,既婚の女性と年齢層に広がりをみせて増加している.また病像も典型的な臨床像を示す例に加えて,診断基準の一部を満たさない非定型な病像を示す患者も増えている.
摂食障害の発症機序はいまだ解明されておらず,身体的,心理的,社会的要因が相互に複雑に関連しあって生じると考えられている.そして現代において摂食障害が増えている大きな要因として痩せ願望や肥満恐怖などの心理的要因が挙げられている.
そこで本稿ではまず摂食障害が世界的に増えている現状について紹介し,次いでわが国の若い女性のスリム化現象と摂食障害,臨床症状と身体合併症,精神障害の併存症,治療,経過や予後について概説する.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.