特集 医療における“物語”―Narrative-Based Medicine(NBM)
Narrative-Based Medicineの背景―医師-患者のコラボレイティヴな関係と会話にむけて
野村 直樹
1
1名古屋市立大学人文社会学部
キーワード:
ナラティヴ
,
ストーリー
,
専門家
,
無知の姿勢
,
物語的真実
Keyword:
ナラティヴ
,
ストーリー
,
専門家
,
無知の姿勢
,
物語的真実
pp.839-842
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100709
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ナラティヴあるいは物語という考え方とその知的背景について述べてみます.ぼくは文化人類学が専門ですが,精神病院をフィールドワークしたため,みなさんの領域といくぶん接点をもつに至りました.しかしここでは,精神病院の話ではなく,いま出た「専門」ということからお話させてください.われわれは領域が異なっていても,一応「専門家」と呼ばれる集団に属しています.専門家になるためには訓練を受け資格を取得する必要があります.気象,法律,医療の専門家などです.われわれはこの専門性を磨くことを自明と考え,疑ったことがほとんどありません.そして,その専門家といわれる人たちには共通する価値観があると思うのです.その1つが,「専門家の意見が素人の意見を優先する」というものです.
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