特集 アレルギーの臨床―第一線での診断と治療
アレルギーの臨床に必要な検査の常識―成人の場合
田中 良一
1
,
山本 一彦
1
1東京大学医学部アレルギーリウマチ内科
キーワード:
Ⅰ型(即時型,アナフィラキシー型)アレルギー反応
,
抗原特異的IgE抗体
,
ヒスタミン
Keyword:
Ⅰ型(即時型,アナフィラキシー型)アレルギー反応
,
抗原特異的IgE抗体
,
ヒスタミン
pp.115-118
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100534
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
減感作療法が著効した通年性アレルギー性鼻炎の1例
患 者:45歳,女性.
既往歴:特記すべきことなし.
家族歴:父が気管支喘息.
現病歴:30歳頃より通年性の鼻汁,鼻閉出現.症状は夏から秋にとくに強い.さらに昨年より春にくしゃみ,鼻汁,目の痒みが出現した.アレルギーを疑いプリックテスト施行するもすべて陰性.他院で最近まで抗ヒスタミン薬が処方されていたことがわかり,特異的IgEを測定したところ,ハウスダスト(HD),ダニ,スギで陽性が判明.抗ヒスタミン薬を1週間休薬後のプリックテストで,上記アレルゲンのみ陽性.皮内テストで閾値を決め,HDとスギの減感作療法を開始.開始後,症状は軽快した.
in virto検査
血清総IgE
血清中に存在する免疫グロブリンとしてのIgEの総量である.血清中の濃度はIgGの約10万分の1と微量であり,感度の高い測定法を要する.RIA(radioimmunoassay)によるRIST(radioimmunosorbent test)法や,EIA(enzyme-immuno- assay)法で測定される(J1).対数正規分布(J2)を示すので,集団での平均は幾何平均で表すのが通例である.喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患や,寄生虫感染で増加することが多いが,すべてのアレルギー性疾患で上昇するとは限らず,診断的価値は限定される.たとえば,花粉症では特異的IgEのみ高値で,総IgEは正常であることが多い.組織浸潤性の寄生虫感染や,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の診断,経過観察には有用である.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.