特集 ジェネラリストのキャリアパス “初期研修”から“後期研修”へ
“後期研修”を展望する―プライマリ・ケア専門医の養成はどこまで進んだか 新医師臨床研究制度3年目の現実
小泉 俊三
1
1佐賀大学医学部附属病院総合診療部
キーワード:
後期研修
,
専門医制度
,
ジェネラリスト
,
ホスピタリスト
,
地域医療
,
家庭医療
Keyword:
後期研修
,
専門医制度
,
ジェネラリスト
,
ホスピタリスト
,
地域医療
,
家庭医療
pp.532-535
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100371
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Question & Answer
Q:後期研修のあり方を展望するうえでの要点は何か?
A:後期研修の構想を通じて総合診療医のアイデンティティと地域医療の現場や大(学)病院内での役割を明確にすべきであるが,地域における家庭医の役割については一般国民の価値観や医療制度のあり方も視野に入れた議論および関係諸団体との調整が必要である.
インターン制度廃止以降30余年の空白を経て2004年4月から実施に移された新医師臨床研修制度は,さまざまの混乱を伴いながらも1期生がすでに2年間の課程を修了し,いわゆる“後期研修”の動向が注目されるに至っている.
一方,一般国民は格差社会の現実を肌で感じつつ,医療制度改革の行方を不安とともに見つめている.医師の偏在/不足が深刻化し,地方の中小公立病院が存亡の危機に瀕していることが大きく報道され,不安要因の1つとなっているが,皮肉にもその一因がプライマリ・ケア能力を持った医師の育成を目指すこの新制度にあるといわれている.マッチング方式の導入によって医師養成・医師派遣の中心にあった大学医局の箍がはずれ,研修先の選択に自由度が増した分,大都会の研修病院が勝ち組になったとの解釈であるが,確かに医学生の間にストレスの大きい診療科を避ける傾向があることや,一部とはいえ,研修内容や指導体制よりも給与や立地条件が研修病院選択の主な理由となっている場合があることなどは気懸かりである.
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