特集 どう発展させる 病院総合医
【病院総合医 地域病院での役割】
地域医療の再生に向けてどんな医師を育てるか?
平井 愛山
1
1千葉県立東金病院
キーワード:
病院総合医
,
ジェネラリスト
,
家庭医療専門医
,
日本プライマリ・ケア連合学会
,
地域医療
Keyword:
病院総合医
,
ジェネラリスト
,
家庭医療専門医
,
日本プライマリ・ケア連合学会
,
地域医療
pp.122-123
発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101887
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■医師育成の視点からの地域医療崩壊の原因分析:臓器別専門医育成の弊害
医療崩壊の背景要因として,わが国が戦後医学教育システムを整備する中で,内科系医師については,内科系の総合医ではなく,臓器別専門医の育成に重点を置いてきた弊害が指摘されている.昭和年代は,医師育成の拠点であった大学病院の内科系医局講座は,ナンバー内科と呼ばれ,内科の9分野(消化器,循環器,呼吸器,内分泌代謝,血液,神経,腎臓,免疫および感染症)の複数分野をカバーする診療と教育を行っていた.
しかし,平成年代に入り,大学病院の外来が臓器別診療に移行するのに伴い,内科系医局講座は徐々に臓器別講座に細分化されることとなった.一方,診療の現場では,少子高齢化が進むのに伴い,高齢患者では,1人で複数の臓器の疾患を持つケースが普通になり,多臓器にまたがって全身を診ることのできる医師のニーズが高まってきた.しかし,上記のような医師育成システムの変化により,わが国の内科系専門医は,基本的に臓器別専門医で,臓器を越えて全身疾患を診ることのできる内科系ジェネラリストはほとんどいないため,医療ザービスの提供者(医師)と利用者(患者)とに乖離が生じ,年を追って大きな問題になってきた.そこに加えて,大学病院の医師不足により,地域の病院への医師派遣機能が急速に低下したため,地域病院の内科系勤務医の不足という事態になった.
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