特集 増える超高齢者への医療
超高齢者のケアのコツ
②消化器疾患―胃癌の手術
磯部 陽
1
,
窪地 淳
1
1国立病院機構東京医療センター外科
キーワード:
超高齢者
,
胃癌
,
リスク評価
,
低侵襲手術
,
治療成績
Keyword:
超高齢者
,
胃癌
,
リスク評価
,
低侵襲手術
,
治療成績
pp.114-117
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100226
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85歳時の平均余命が男性6年,女性8年を超過した現在1),麻酔方法や周術期管理の進歩に伴って超高齢者の消化器癌手術は一般化しつつあり,100歳以上の手術例も報告されるようになった2).そこで,本邦における代表的な消化器癌である胃癌を取り上げ,超高齢者の手術における基本的な考え方を紹介したい.
超高齢者の胃癌の特徴
当院の胃癌手術症例の中で85歳以上の超高齢者の占める割合は,30年前は0.3%,20年前は2%以下であったが,最近10年間で約5%にまで増加した(図1).高齢者の胃癌は,壮年者と比較して胃の下部領域に多くみられ,分化型腺癌,多発症例などが多く3),狭窄,出血などの症状を呈して発見される進行例が多いとされている.また,発育速度は一般に考えられているように遅いとは限らず,高齢であることを理由に治療を躊躇している間に急速に進行する症例に出会うことも稀ではない.一方,超高齢者は,呼吸・循環器系合併症などを有し,ADLが低下していることが多く,術後合併症の発生により入院期間の延長や在院死亡をきたす可能性は高い.
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