特集 外来診療の質を評価する
外来コミュニケーションの質評価
長谷川 万希子
1
1高千穂大学経営学部
キーワード:
生涯学習プログラム
,
会話のさえぎり
,
コミュニケーションの相互性
,
患者の発話数
,
患者の笑い
Keyword:
生涯学習プログラム
,
会話のさえぎり
,
コミュニケーションの相互性
,
患者の発話数
,
患者の笑い
pp.226-230
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100079
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臨床経験とコミュニケーションの上達
日々の診療の中で,ある患者とは上手にコミュニケーションがとれても,同じ方法でほかの患者に接するとうまく関係が築けないことがある.それは,お互いの性別,年齢,生活背景,価値観,相性などが複雑に関係するためである.これら複数のコミュニケーションの障害要因を乗り越えて,専門家としてよりよい関係を患者と形成することが,医師には求められている.そのためには,患者とのコミュニケーションのとり方について,生涯をとおして何度も学習の機会を積み重ねることが重要である.
筆者が行った一般内科医に対する調査では,臨床経験年数を積んでいっても,コミュニケーションのトレーニングを受けずにいる医師は,そのままではよりよいコミュニケーションの技術が身に付かないという結果が出ている1).図1は,医師の臨床経験年数と,患者とのコミュニケーション技術の総合評価(「きわめて悪い」1点~「きわめてよい」10点)との関係を示したものである.この両者の関係を相関係数で示すときわめて低い値になり,両者の間に有意な相関は認められない.ただ単に臨床経験を積めば,経験的に患者とのコミュニケーション技術が上達するとは限らないのである.
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