増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅷ.Day Surgeryの現況と実際
前立腺肥大症の手術(TUR-P)
西村 泰司
1
Taiji Nishimura
1
1日本医科大学附属千葉北総病院泌尿器科
pp.343-346
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902952
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1 はじめに
もともと日帰り手術は手術をminimally invasivetherapy,つまり社会的,肉体的,精神的および経済的に低侵襲性とすることを目的として始められたと思われる。筆者も,全盲の息子を抱え,他に面倒をみる人がいない膀胱癌の高齢女性に遭遇したのが,日帰り手術を始めるきっかけであった1)。
しかるに,昨今,政府が医師の善意を逆手にとり,DRG導入と同様に,日帰り経尿道的前立腺切除術(transurethral resection of the prostate:TUR-P)だと1,000点の加算など,医療費削減を目的とした日帰り手術の捉え方に憤りを感じている。日帰りTUR-Pを行う際の医師の努力や余分な負担は1,000点で評価されるようなものではない。「1万円余分にやるからもっと日帰りTUR-Pをどんどんやれ」というのが政府の考えであるならとんでもないことである。筆者の知りうる範囲でも,全国で数名の開業医の方が日帰りTUR-Pを行っているが2〜4,6),ほとんどは先に述べた通り患者のためを思っての善意からの発想であることを念を押して述べておきたい。
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