増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
4.先天異常
(1)腎臓
嚢胞腎
吉井 将人
1
,
東原 英二
1
Masahito Yoshii
1
1杏林大学医学部泌尿器科
pp.196-199
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902586
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1 はじめに
嚢胞腎(多発性嚢胞腎)は両側腎の嚢胞以外に肝臓,膵臓など各種臓器に嚢胞が多発する疾患であり,常染色体優性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)と常染色体劣性嚢胞腎(autosomal recessive polycystic kid-ney disease:ARPKD)に分類される。従来,前者が成人型,後者が幼児型と分類されていたが,小児にも成人型(常染色体優性)嚢胞腎の発症が認められることや,幼児型(常染色体劣性)嚢胞腎でも稀に成人まで成長する症例があるため,この分類は不適切である。また,常染色体優性嚢胞腎は,遺伝子の異常部位によりPKD1,PKD2に分類される。筆者らの解析では,本邦の約80%がPKD1であった1,2)。
常染色体優性嚢胞腎は嚢胞腎の中で頻度が高く,発症頻度は500〜1,000人に1人とされている。高血圧,頭蓋内動脈瘤などの合併が多く,約50%の症例が終末期腎不全に進行する。なお,本邦の透析患者の約3.5%が常染色体優性嚢胞腎である。
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