文献抄録
嚢胞腎末期の腎移植について
pp.872
発行日 1974年12月20日
Published Date 1974/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201883
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世界的には既に600例以上嚢胞腎疾患者,腎不全者に腎移植が行なわれている。著者らはMayo Clinicにて最近10年間に203例の腎移植を実施しているが,この内に11例の末期嚢胞腎症例がある。末期嚢胞腎者はいずれも腎移植前に両腎の摘出を行なつている。症例はすべて血尿,脊部痛,高血圧,尿路感染,結石形成などの症状,合併症を持つている。性別では5例が女性,6例が男性で,年齢は23歳から58歳にわたつている。これらの症例は1例の腹膜灌流実施者以外はすべて血液透析を行なつており,長い者は27ヵ月に及んでいる。Donorは8腎が生体で4腎は屍体より用い,HL-Aの最も適合するDonorが選ばれている。腎移植部は左右の腸骨窩を用い,尿管膀胱吻合を行なつている。以上の移植症例の成績をみると11例中2例が死亡し,82%の成功率であつた。死亡の原因は1例は突然の気管栓塞から心停止を来たしたもので,それまではcreatinine値も1.1mg/dlで外来で良好の経過の症例であつた。
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