増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
2.尿路・性器感染症
腎膿瘍
山田 陽司
1
,
松本 哲朗
1
Yoji Yamada
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.174-175
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902579
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1 はじめに
腎膿瘍は腎実質に膿瘍形成を生じた状態を指すが,その原因の多くが腎盂腎炎からの上行性感染によるものであり,血行性経路のものは少ない。つまり,腎盂腎炎から腎実質感染症,acute bac-terial nephritis(ABN)がまず引き起こされ1),形成されたlow density area周囲に線維化による被膜形成を伴うことが本症の病態と考えられる。また,膿瘍腔の自壊により,腎周囲膿瘍や腸腰筋膿瘍に発展することもある2)。患者の基礎疾患には糖尿病が多く,臨床症状は一般に腎盂腎炎と類似する場合が多いが,膿瘍が完全に被膜化され,尿所見に異常がない場合や,全身倦怠感などの不定愁訴の全身検索が行われた後にはじめて本症を疑う場合には,悪性腫瘍との鑑別が重要となることもある。治療はまず保存的抗菌療法であるが,反応しない場合には経皮的あるいは開腹手術によるドレナージ術,腎部分切除術,または腎摘除術が行われる。
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