特集 耳鼻咽喉科と感染症
II.感染解剖学
側咽膿瘍と咽後膿瘍
寺山 吉彦
1
Yoshihiko Terayama
1
1北海道大学医学部耳鼻咽喉科学
pp.751-756
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209143
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I.はじめに
頭頸部には体の他の部同様,筋膜と筋膜の間に粗な結合織を入れる間隙spaceが多数存在する。その生理的役割は,1つは表情・咀嚼・頸部捻転等の運動に際して筋肉間の潤滑油的働きをする。第2は腔隙内にある血管・神経が周囲の形状変化に円滑に追随するよう保護することである。
一方,臨床的意義は,①手術時この間隙は剥離しやすく容易に目的部位に達する,②これらの腔内の耳下腺,リンパ節等から炎症,腫瘍が発生すると腔内に限局して進展・増大する。さらに隣接する腔の境界を破って進入すると,容易に拡大し重篤な症状をきたす。
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