増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
2.尿路・性器感染症
腎・膀胱結核
名出 頼男
1
Yorio Naide
1
1藤田保健衛生大学医学部泌尿器科
pp.176-178
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902580
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1 はじめに
腎膀胱結核の新鮮例を見ることは最近は稀になっている。しかし,結核症の減少率が最近低くなってきていることはしばしば強調されることである。また,結核に対する免疫の保持率もやはり低下していて,過去に結核に罹患したりBCG接種により免疫を獲得(長期に十分な免疫能が保持されることは困難)している人もやはり少なくなっていることが最近問題とされている。BCGの有用性には疑問があり,近年先進国では本邦を除いてはほとんど行われていないが,発展途上国のように多数の結核患者がみられるところでは,BCG接種が必要とされている。また,本邦でもジャーナリズムを賑わせるように,結核症集団発生,特に薬剤耐性菌(この比率は地域差が強いようで,一概にどの地域でも増加しているとはいい切れない)感染による死亡例がみられている。また,今後増加するであろう免疫不全状態(エイズ感染,臓器移植,抗癌化学療法などによる)で結核症に罹患すると,全身感染の形をとりやすかったり,耐性菌発生率が増加することなどに注意が必要となる(この状況では獲得免疫が有効に働かず,長期に菌が残存し,長期投薬中に耐性菌選択が起きるか,耐性菌による再感染もみられる)。
尿路結核症は必ずしも増加しているようにはみられないが,一定の患者数は統計的にはみられているようなので,難治感染をみた場合に常に結核症が留意される必要性は,現在でも変わってはいない。
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